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メドックマラソン体験記(1)
今年の誕生日は、図らずも国際線の機内で迎えることになった。フランスのボルドー地方で開かれるメドックマラソンに出場するためだ。

メドックマラソンが開催されるポイヤック村は、5大シャトーのうちラフィット、ムートン、ラトゥールの3つを要する世界最高のワインの名産地。ここで、毎年9月にワインの無事収穫を祈ってマラソンが開催され、世界中からワインファンが一万人以上この小さな村に集まる。2年前に、東京の友人らとやっているワイン会で話が盛り上がり、今年現地集合を約束に思い切って参加することに。ウオートンの同級生2名も道連れに、身重の家内と幼い長男を置き去りにして、人生初マラソンに挑戦することになった。

今年は記念すべき25回大会ということもあり、主催者側も特に気合が入っている。大会前日の今晩は、ポイヤック村にあるChateau Pichon-Longuevilleにてランナーの一部やマスコミ関係者など約2000人参加のパスタパーティが開催された。一面のワイン畑に囲まれたシャトーの門をくぐり中庭を見下ろすと、美しい芝生と噴水に囲まれて映画に出てきそうな大きな白い城(chateau)が夕日にそびえて参加者たちを出迎える。音楽隊が陽気に生演奏を繰り広げる前で、赤や白のグラスワインが揃いのオレンジ色のTシャツを着たボランティアたちの手によって気前よく振舞われる。

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見回すと、世界各地から様々な人種のワインファンが翌日の大会に向けた興奮を分かち合っている。が、ヨーロッパという地理的な条件もあってかアジア人はまだまだ少ないようだ。歩いていると、"Japon!?"などと物珍しげに声をかけられ、片言の英語やフランス語で翌日の健闘を願いあう。会場全体を異様な高揚感が包み込んでいる。

中庭の先に通されたのは、2000人分のテーブルやお皿がきれいに用意された巨大な着席のテント会場。ご丁寧に一人一人の席にメニューカードが置いてあり、見るとニョッキやファルファッレなどの3種類のパスタにデザートまで付いた立派なコースディナー。「巨大パスタパーティ」というと、なにかドデカイ釜から各自で紙プレートに自分の分をどかどか盛るようなラフなものをイメージしていただけに、村を挙げての熱烈な歓待ぶりに圧倒された。

前方で司会者が大声でアナウンスを始めると会場全体が揺れるような大歓声に。フランス語なので何も理解できない我々一行はとりあえずノッテおく。その間にもボランティアの人たちが、次々に大きなボールにいろんな種類のパスタを運んでくる。ワインも赤3種類、ボトルが次々とテーブルに無造作に並べられていく。圧巻だったのは最後に出てきたChateau Pichon-Longueville 1998。今まさに飲みごろを迎えるボルドー2級シャトーの堂々たる看板ワインだ。後ろに座っていたフランス人のオジサンが真っ赤な顔をしながら「兄ちゃん、これレストランで飲んだら高けぇぞ。」と嬉しそうに説明してくれた。

お酒が入った参加者たちは次第にコントロール不能に。バンド演奏に昂奮したお婆さんが突然テーブルに飛び乗り激しく腰を振りはじめると、向かいに座っていたおじいさんもたまらず飛び入り。テレビカメラもやってきて、会場はやんやの大喝采。気がつけば何百人もが正面のステージに飛び乗って終盤は大ダンスパーティと化していた。馬鹿げた盛り上がりを思い切り楽しんでやろうというヨーロッパ人の突き抜けた明るさがまぶしい。

締めは、真っ暗なワイン畑の上空に大きな花火が何百発と上がり、収穫を待つばかりのぶとうたちと高揚に包まれながら見上げる参加者の顔を照らし出す。この場にいることの幸せにただただ感謝。

マラソンはいよいよ明日だ。

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【2009/09/11 14:52】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
メドックマラソン体験記(2)
メドックマラソンの一番の特徴といえば、やはりワイン。コース上の数多くのシャトーで、給水場ならぬ「給ワイン場」が設けられていて、ランナーはマラソンを通じてメドックのワインを味わいつくしながら走ることになる。行政管理の厳しい日本じゃちょっと信じられないことだが、これが世界中からワインファンを集める理由の一つだ。ちなみにこの25年間一人も死者を出していないのが主催者の自慢だそうだ。

もう一つの大きな特徴は、仮装だろう。参加者は仮装を半ば義務付けられており、みんな思い思いの奇抜なコスチュームで42.195キロを走り抜く。朝、スタート地点に向けて仲間と歩いていると、あちこちから異様な格好をした集団が雄たけびをあげながら歩いてくる。我々もウオートンのお祭りハッピを来て臨んだが、顔を豹にかませている髭のオジサンや、ウェディングドレスで完走を目指すお姉さんの気合には全くかなわない。でもみんなとにかく楽しそうだ。

空から音楽が聞こえるので見上げると、スタート地点の上空数十メートルに超巨大クレーンからつりさげられる形でドラム隊が演奏を開始。まるでサーカスのような演出でカウントダウンを盛り上げる。さあ、いよいよだ。そして合図とともに約一万人のコスプレ集団の濁流が狭いメドックの中心街を怒涛のごとく流れ始めた。

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一杯目のワインは、10キロ地点のChateau Graud Larose。味なんかわからないと思っていたが、のどが渇いているせいかとてもおいしく感じる。15キロ地点で、ワイン畑の先に美しい竹林が出現。「あ、なんか和風な感じ」、と思ったらやはりそこはChateau Lagrange。日本のSuntoryが退廃した名門Lagrangeを買収して欧米以外の企業として初めてメドックに進出したのが1983年。以来26年間、様々な苦労と失敗を重ねながら最近は3級シャトーの名に恥じない素晴らしいワインを世に送り出すところまで見事に復活させた。失敗を恐れることなく、しかし成功におごることもない。さりげなく和風テイストを庭園ににじませながらも、しっかりワインの本場に溶け込んでいるLagrangeのたたずまいに、謙虚なサムライ魂を見た。

26キロの小高い丘の上に待っているのはChateau Lafite-Rothchild。五大シャトーの意地か、ここではきちんとグラスでワインを飲ませてくれた。ワインももちろんおいしいのだが、そろそろ疲れがたまってきているせいか、補給ポイントで出されるアプリコットや冷えたオレンジの切り身もとてもリフレッシングで嬉しい。ふと横を見ると、ラフィットの中庭の池に飛び込んで泳いじゃっている陽気なオジサン軍団を発見。なんでもありのようだ。

ラフィットを過ぎたあたりから市内をはずれ、ひたすら広大なワイン畑の丘を走る道が続く。道端になっているカベルネ・ソーヴィニヨンの身を少し口に含んでみると、とても甘いのに驚く。なんでも今年は暑い日が続いたので、糖分がしっかり凝縮されていてこのままいけばすごくよいビンテージになるとのこと。ちなみにこうしてぶどうを味見するときは、小さな種まで一緒に食べるとその年のワインの味がなんとなくわかるそうだ。

なんとか、苦労しながら37キロ地点まで辿りつくと、道端のワゴンでシェフの集団が大きなナイフで生ハムを切りわけている。ついにここからメドック名物の「フルコース」でラストスパートだ。前菜の厚切りの生ハムを口にほおばりながら一キロ進むと、次は生ガキと白ワインが配られる。39キロ地点では、炭火焼のステーキをほおばる(ただ、ランナーたちが焼きをせかすあまり超レアだったが)。40キロ地点では口直しのフルーツが出て、41キロではデザートのアイスクリーム。一つ一つの料理が楽しみで、一番つらいはずのラスト5キロもなんとか楽しく進めてしまう。42キロ地点ではピエロの格好をしたオジサンが「もうすぐゴールですよ。お化粧直しはばっちりですか?」と書いた大きな姿見鏡を持って一人一人のランナーに声をかけていたのには笑った。

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最後、沿道の大歓声を受けながら、一歩一歩感動をかみしめるようにゴール。タイム的には平凡だが、ほとんどすべてのワインを飲み、景色を満喫しながら完走できた。完走賞の大きなメダルとボトルワイン、そしてMarathon du Medocと刻印された大きなデキャンタをみんな大事そうに抱えて完走の喜びを分かち合っていた。
【2009/09/12 16:29】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
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