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授業評価の開示を目指して
Whartonでは、大学側が学期の最後に実施する授業評価アンケートとは別に、学生自治会(WGA)が自主的に運営しているWaGAt Surveyと呼ばれるオンラインの教授評価データベースがある。名前は恥ずかしいほどひねりのない、そう、ザガットのもじりだ。でもふざけた名前とは裏腹に、学生による率直な感想や意見が、教授への改善提言やオークションを通じての個々人の授業選択に大変重要な役割を果たしてきた。

このWaGAt Surveyに関して今週、重大な発表を行った。これまで選択科目に限定されてきたWaGAt Surveyを、今学期から必修科目にも対象範囲を拡大するというものだ。3月の自治会長就任以来、学校側の強い抵抗に苦しみながら特に強い思い入れを持って取り組んできたイニシアチブでもあり、感無量と言えば大げさだが、一つの達成感を感じている。

[ Wharton Journal の記事はこちら ]
"WGA to Launch Major Expansion of WaGAt Survey" by Akihisa Shiozaki (Wharton Journal 11/2/09)

もともとの問題意識は、必修科目については学校実施の授業評価アンケートの結果が学生に開示されていないことに端を発している。Whartonと言えども、天才的に教え方のうまい教授もいれば、リサーチ畑一筋で口下手な教授も中にはいる。だが選択科目ならば、開示されている過去の教授評価を前提にオークションを通じて、いわばインフォームドコンセントの形で履修をしているので、学生の不満は大きくない。

問題は、必修科目の場合だ。教授選択の余地がない上に、学生からのフィードバックの結果とそれに対する学校/教授側の対応が学生からは見えにくい。すなわち授業評価のPDCAサイクルが透明性を欠くために、時として学校はTeachingに真剣に取り組んでいないんじゃないかと学生側の誤解を生む原因の一つとなってきた。

選挙直後、公約に従って必修科目に関する大学側の授業評価アンケート結果の完全開示を求めたところ、大学側からは強烈な拒否反応が返ってきた。「そんなことをしたら、教授がやる気をなくす」「そもそも学生の評価なんて気まぐれなものだ」「学生自治会による領空侵犯だ」教授によっては、面会すら拒否されることもあった。おいおい、ここは霞が関か、と思わず突っ込みをいれたくなったほどだ。学内ポリティクスの複雑さを思い知らされる痛烈な先制パンチだった。

それから約2カ月は孤独な闘いだった。「アメリカでは根回しなんていらない」なんて言ってたのはどこの誰だ。実際は、パワーポイントの資料をつくっては、一人一人キーマンとなる教授と面会し、意見を聞き、折衷点を模索し、資料を作り直し、、、気の遠くなるような作業の繰り返しだった。最後は我々のあまりのしつこさについに音を上げたのか、MBAを直轄する教授会の前でプレゼンを許されるところまで何とかこぎつけた。

渾身のプレゼンだったが、結果は僅差で否決されてしまった。しかし、我々のチームのメンバーは本当にしつこい。散会になろうとする直前に、事前に用意していた緊急動議を提案し、代替案としてWaGAt Surveyの拡張を急きょ提案した。教授達の反応は様々だ。よくやったと嬉しそうな顔もあれば、苦虫をかみつぶしたような顔もある。学校のサーバーに乗っているとはいえ、建前上は学生による自主アンケート。多少の議論はあったものの、自治会を止めることはできないという理由でWaGAtの拡張が認められた。

どんな組織であっても、何かを変えるということ、改革をするということはものすごいエネルギーを必要とするものだ。大事なことは、決してあきらめないこと。Persistence(しつこさ)の大事さは国境を越えても変わらない。

新WaGAtは今学期からの始動なので、学校のカルチャーに中長期的にどのような変化を及ぼすのか、なかなか予測が難しい。他のビジネススクールでもあまり例がない取組みだそうだ。でも、できればいい方向につながってほしい。学生と教授がお互いをrespectしながらMBAカリキュラムの改善・向上のために協力して知恵を出し合っていくような建設的な土壌が広がっていくことを願いたい。

それにしても、デザイナーの友人に作ってもらった新しいロゴはなかなかいけている。


wagat logo poster-2

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【2009/11/04 14:56】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
企業収益と社会的責任投資
WhartonのAssistant Professorで、親しい友人でもあるAlex Edmans教授と久しぶりにランチを食べた。

Academicとしては珍しく投資銀行(モルガンスタンレー)で3年間勤務した経歴をもつ彼は、現在まだ20代の若さながら役員報酬のあり方や社会的責任投資(Socially Responsible Investing)の分野でシャープな論文を連発し、Finance界の風雲児として注目されている。学生の人気も高く、授業評価は常にトップレイティング。昨年の自治会選挙以来の付き合いで、授業評価の透明性向上など我々の主張するラディカルな公約を見て、同じくラディカルなAlexが非常に共感を示してくれ、以来WGAの強力なサポーターの一人として、公私共に親しくさせてもらっている。

雑談をしているうちに、彼の研究分野である社会的責任投資(SRI)について話が及んだ。社会的責任投資とは、簡単にいえば株主以外のステークホルダーに対してもポジティブな影響の認められる企業にのみ投資する投資戦略を指す。昨今の企業の社会的責任(CSR)を重視する潮流の中で注目を増しており、日本でも約3000億円規模、世界全体では300兆円以上のSRI資産が運用されているという。

Alexは熱く語る。(注:Alexはいつも熱い。)

「これまで社会的責任投資といえば、社会貢献の代償として一定の投資収益を犠牲にしなければいけないと思われてきた。でも最近の僕の研究では、収益と社会的責任のトレードオフは必然じゃなく、社会的責任投資を通じて高い投資リターンを得ることも可能であることを証明しようとしているんだ。」

彼の論文によれば、Fortune誌が毎年1月に発表している"100 Best Companies to Work For in America"に選ばれた従業員満足度の高い企業だけを選んでポートフォリオを組んだ場合、1984年から2005年までの間に市場より4%高い長期投資リターンが確認できたそうだ。そしてこの分析結果からは、①従業員満足度の高さと株主収益率には正の相関関係があること、②市場は、従業員満足度のような情報を十分に織り込む能力を欠いていること、③社会的責任投資に用いられるスクリーニング項目の中には、従業員満足度のように投資収益を向上させるものがありうること、が証明できるという。

"Does the Stock Market Fully Value Intangibles? Employee Satisfaction and Equity Prices" Alex Edmans (August 12, 2009)

この研究結果は金融危機を契機に問題となった役員の報酬体系のあり方を考える際にも参考になるという。資本主義社会が業績連動のインセンティブ型報酬体系を継続するとしいても、退職後数年間はストックオプションを行使できないようにするなど、行使のタイミングに厳しい縛りを設けていくことにより、従業員満足度など、よりIntangibleで長期的影響のある指標を取締役らが考慮することを推奨でき、会社にとって有益となると主張する。

ビジネススクールで、社会的責任の議論になると必ずクラスが二つに分かれる。株主利益の最大化以外に営利企業の目的はありえないとするスクールと、いやいや、企業には社会的存在として株主利益以外にも各種の社会的責任を満たさなければいけないと主張するスクールだ。Whartonなどでは、当然ながら前者の考えを採る学生の方が多数派であり、少数派はいつも悔しそうに歯ぎしりしている。しかし、一見哲学的に相いれないように見えるこの二つの立場も、株主リターンの時間軸を長期に伸ばしていくにつれてほとんど差異がなくなってくるのが面白い。長期リターンを考える際には、企業の社会的評価やイメージなどを大きく考慮に入れざるを得なくなるからだ。

市場経済の色んなひずみが表面化する中で、多くの国や企業が新たな持続可能な経済モデルを模索している。官民協力の上、報酬体系や税務体系、法的枠組みなどを駆使して株主の投資視点の長期化、経営陣の経営視点の長期化を推奨していく中に一つの答えが浮かび上がってくるかもしれない。そんな予感がした。

若き天才教授は最後に少し考え込んでから、にやりと一言。

「Shockyouのポテト、食べないならもらっていい?」

alex

Alex Edmans 教授
【2009/11/18 19:51】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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