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MBA Oathの挑戦
MBA Oathというものがある。

昨年、ハーバードビジネススクールを卒業した学生の一部がはじめたビジネス倫理の誓約書のようなもので、当時、金融危機直後だったこともあり、当時多くのメディアでもてはやされた。昨年のHBSの卒業クラスの約半分が署名したというそのOathには、以下のような誓いが並んでいる。

I will act with utmost integrity and pursue my work in an ethical manner.
I will safeguard the interests of my shareholders, co-workers, customers and the society in which we operate.
I will manage my enterprise in good faith, guarding against decisions and behavior that advance my own narrow ambitions but harm the enterprise and the societies it serves.
I will understand and uphold, both in letter and in spirit, the laws and contracts governing my own conduct and that of my enterprise.
I will take responsibility for my actions, and I will represent the performance and risks of my enterprise accurately and honestly.
I will develop both myself and other managers under my supervision so that the profession continues to grow and contribute to the well-being of society.
I will strive to create sustainable economic, social, and environmental prosperity worldwide.
I will be accountable to my peers and they will be accountable to me for living by this oath.

そのMBA Oathの創始者のひとりであるPeterから連絡があり、大変興味深い会話を交わした。Peter達は、最近MBA OathをNPO法人として立ち上げ、現在その普及に奔走しているという。彼らは、現在HBS以外のビジネススクールにもOathを広げようと模索しており、Whartonでの普及の方策について協力とアドバイスを頼まれた。

もともとこのOath立ち上げの背景には、Rakesh Khurana とNitin NohriaというHBSのビジネス倫理の二人の教授が深くかかわっている。RakeshとNitinは、ビジネスマネジャーにも医師や弁護士などと同様に倫理基準を設けるべきだという研究を続けてきており、上記のOathの文言もこの二人がもともとビジネスマネジャー用のCodeのプロトタイプとして作成していたものをほぼ踏襲している。

Rakesh/Nitinの論文によれば、医師や弁護士などの真のプロフェッションは、いずれも一定の倫理基準の採択を通じて外部社会と「契約」を結んでおり、その順守を同じプロフェッションの者による監督機関が監視する点に特徴があるという。そして、様々な不祥事などを通じて社会の信頼を失いつつあるビジネスマネジャーにも、このような一定の倫理基準(Code of Conduct)を導入するべきであると主張する。その具体的なアイディアとして、MBA卒業後に公的機関による試験などを通じて、CBA(Certificate in Business Administration)を与えてはどうかなど、なかなか斬新なアイディアが並んでいる。

ここでも会社の使命論、すなわち営利企業の目的は株主価値の最大化か、株主に留まらない全てのステイクホルダーへの貢献か、によってあるべきCodeの姿が大きく分かれる。そして、いずれの極論にも立たず、利益と倫理のバランスをとった「中道」をとるべきだと両教授は説く。ちなみに、ここでステイクホルダー重視に偏りすぎた典型的な失敗例としてバブル崩壊後に従業員のリストラを避けるため不良債権処理を怠った日本の銀行が挙げられている。

余談だが、アメリカのビジネススクールでは、日本企業が成功の例でも、失敗の例でも同じくらいの頻度で本当によく出てくる。外国事例の中では圧倒的なNo.1だろう。色んな意味において「異なるモデル」としての"Japan"の存在は、依然としてアメリカ社会を相対化して評価する際の貴重な鏡の役割を果たし続けている。これは、"USA"が日本に対して果たしてきた役割とも一致しているともいえる。日本とアメリカは、これからも向かい鏡のように互いの姿を成長の糧にしていけるのか、それとも次第にすれ違って行ってしまうのだろうか。大きな分岐点に差し掛かっている予感がする。

Peterはビジネススクール卒業の際、多くのオファーを断り、現在このMBA Oathのたった一人の専従Executive Directorとして来春の卒業シーズンに向けて走りまわっている。賛同者も多い半面、「わざわざ誓約書など書く必要が分からない」「執行力がないから意味がないだろう」といった厳しい批判にもさらされているそうだ。Whartonでも積極的な支持の動きはまだ広がっていない。ただ、彼の問題意識自体は、昨春のSeven School Forumで集まった際に僕らが確認しあった大きな方向性と共通する部分が大きいと感じた。

思いを行動に移し、リスクを取って駆けずり回るPeterに敬意を表して、今後も連絡をとりあっていくことを約束した。

参考:"It's Time to Make Management a True Profession" by Rakesh Khurana and Nitin Nohria, Harvard Business Review, October 2008

MBA_oath.jpg
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【2009/11/23 14:03】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
INSEADからニュースレターが時々届くんだけど、こんな記事がありました。ご参考まで。

http://knowledge.insead.edu/contents/csr-mba-oath-091125.cfm?vid=342
【2009/11/27 01:45】 URL | 珈琲男 #-[ 編集] | page top↑
> INSEADからニュースレターが時々届くんだけど、こんな記事がありました。ご参考まで。
>
> http://knowledge.insead.edu/contents/csr-mba-oath-091125.cfm?vid=342

ありがとうございます。賛否両方の論文とも読みましたが、真っ向から議論が分かれていてなかなか面白いですね。Donaldsonにもチャンスがあれば意見を聞いてみたいですね。
【2009/11/29 00:21】 URL | shockyou #-[ 編集] | page top↑
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